AKB48(Media選抜) |
AKB48の商品設計は、メンバー、楽曲、ライブ、ファンをへの施策という視点から、ソリューションとして設計されている。故に、メンバーがいかなるものであっても成立するようになっている。
そのソリューションには、アウターコンセプトである「会いにいけるアイドル」に対して、「何も加工されていない生の人間の、並外れた成長を見せる」インナーコンセプトが設計されている。それが、前田敦子というフラッグシップで「見える化」したことで、顧客はインナーコンセプトを明確にイメージすることができた。
さらに、その内容を作詞家やアーティストの思想や感情という「STORY」ではなく、ファンやメンバーの想いや経験を代弁する「ナラティブ」で語った。故に、「次々」に起こる、「様々」な、「現在進行形」の無数な物語を生み出し、これがいつもAKBの鮮度を保つことなっている。
AKB48の普及戦略では、AKB48の展開がロジャーズの普及モデルと一致していた。これは普及戦略がしっかりと考えられ、実行されていることを示している。第一期は、イノベーターである、秋葉系のアイドルオタクを獲得した。第二期は、アーリーアダプターを獲得した。アーリーアダプターは、たくさんのメンバーじゃら自分の意中の人を捜す楽しみや、メンバーとチームの成長を見守れる楽しみ、ファン同士が交流できる楽しみなどを感じた。
着目すべきはここからである。
第三期、第四期は”クリティカルマス”を超える戦略に出た。これを可能にしたのが、「大声ダイヤモンド」である。この結果アーリーマジョリティーである34%をしめる大衆を獲得している。そして今、第五期はレイト・マジョリティーに達している。
AKB48の市場戦略は、最初はセオリー(STP)と新世代マーケティングの融合で、濃い顧客を作るというものだった「30代、40代ぐらいの男性アキバ系アイドルマニア」というターゲットに「メジャーアイドル並のクオリティと地下アイドル並みの近さ」という価値を実現し、熱狂的なファンを作ることに成功した。
更に、ブレイクの手前で、ニッチ戦略から、リーダー戦略へと変更する。(大声ダイヤモンドだ。ここを境に、明らかに振り付け、歌詞が変わっている)。これによって一気に顧客を拡大している。作詞・作曲・振り付け・メディア展開、イベントといったすべてを全国展開に切り替えて、”全方位戦略”を取っている。
次にAKB48のプロモーション戦略は、マーケティングシステムといえるほどよくできたものである。それは、トライアルユーザーを獲得し、ユーザーを感動させ、リピーターを促進する関係性マーケティング(和田充夫:関係性マーケティングの構図)と言える。これは特に、AKB48の選抜総選挙が顕著であり、No.1を目指すメンバーを、いろいろな投票方法でファンが応援し、感動を共有することで、両者の関係を深めるということである。
また、AKB48は”オープンソース的な考え方”で作られていた。これによって、たとえメンバーが抜けて、ファンが入れ替わっても、進化し続けることができ、常にファンのニーズを反映させることができた。
AKB48が素人を採用する(AKBのオーディションは当初、事務所に所属したことがあればアウトだった)理由は、”素人は未完成であるが故に、ファンは応援する楽しみと、成長と見守る楽しみの両方を味わうことができる”ことである。また、その基本戦略は”差別化”にある。これは、秋元康の“世の中には必ず反動があると考え、人が手を出さないことをやることが、成功のための最良の方法である”という考え方に基づく。そして、商品設計はアイドルの4大要素である「処女的アイドル性」「パフォーマンス性」「庶民性」「地下アイドル性」を掛け合わせて作られていることがわかる。
AKB48のビジネスモデルは、「イベント事業」「物販事業」「会員事業」の3つであり、それらが相互連携していることが特徴である。更にこのメインシステムを補完するのが「制作事業」と「プロダクション事業」という2つのサブシステムである。このような、メインシステムとサブシステムからなるAKB48のビジネスモデルは、大きく二つの利益モデルを使っている。一つはインストール・ベース利益モデルであり、もう一つは顧客ソリューション利益モデル。この二つの併用で、利益を大きくしている。
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