2012年8月20日月曜日

クリエイティブを加速させる条件


多くの組織がデザイン思考を詳細まで詰めずにとりあえずやってみるという姿勢でワークショップを開催しまくっていますが焦る必要はないように思います。あれは完全にプロトタイプを分かっていない人のやることだと思うのです。

正確には、デザイン思考がそれ自体がプロセスであると呼ばれる所以です。外部環境が変われば、当たり前のように「デザイン思考」の要件自体も変化します。Tinaの指摘のようにクリエイティブのエンジンというのは常に外部からの環境を受けているのです。

現在の外部環境の変化は、コトワークショップにおいては激しさを増しています。確実に増えていくワークショップコンテンツの中でいかに早く高いクオリティーと繊細さを持ったワークショップを素早く創っていくのかということがこれから競われていくはずです。この競争の中では確実に、オリジナリティーが求められ、そしてクオリティーをいち早く高める”力”が必要です。それは個人の能力に依存する部分と、個々それぞれのクリエイティビティーを加速させるその習慣を組織に根付かせる必要があると思います。

その1つの方法は、内部でプロトタイプを繰り替えす「submarine launch」というモデルですね。これの効果的な点は初期の段階で「顧客との関係」にそれほどチカラを取られずにコンテンツのクオリティーを高めていける点です。余力がない時には無理に手を広げずにクオリティーを高め、フィードバックを早く回転させる仕組みが必要です。

あとは、デザイン思考のワークショップを創っている大抵の人に共通するのは、多分野の知識を全く取り込んでいないことです。デザインの基本が「人」であるなら、それに関わる学問領域のカバーはある程度求められるのは必然だと思うのですが、「場」の理論だけを追求したり、「デザイン」思考の論文だけを読んだり、もっと酷くなれば「手法だけ」を勉強する。これで、新しいものは生まれるんでしょうか?答えはお分かりの通り「NO」ですね。

コラボレーションの起こし方の基本は、「場に多様性を持たせること」であって、「多様なステークホルダーの人材を集める」ことではありません。小学生から、社会人まで集めるというのは「ステークホルダー」を集めたということに過ぎず、僕らが集めなくてはならないのは、1つの突き抜ける「才能」と、その周辺に広がる多様な領域をカバーし、結びつける能力に長けた人物だと思うのです。そのような人材が揃うことが「クリエイティブ」のエンジンを動かす最低要件です。

だから、というわけではありませんが日本のほとんどの組織はイノベーションはそもそも起こせないと思っています(理由はこれ1つではないという意味で)。そして、僕らが創ったあるチームの圧倒的な強さは、この「クリエイティブ」の領域を支配できるようなメンバーを集めていることだと思うのです。組織の最高のチカラとは「そこに存在する」人と価値観、そして習慣です。

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