2012年1月11日水曜日

コンテスト形式〜その意味は?〜

ここ数年のことですが、様々な場所で”ビジネスコンテスト”を始めとする、”コンテスト”なるものに接してきました。その中で感じることがあったので、書いておこうと思います。

出会いの場
「コンテストを実施する意味」について考えたことがあるでしょうか。正確には何故”コンテスト”なのかということです。僕は、3年間もこういう世界にいるためか、毎回ビジネスコンテストが”何故”コンテストという形式でイベントを行うのかを考えてしまいます。

 審査をするだけで、優勝を決めるのであれば別にそんな形式はいりません。審査員7名と参加者を集めてそこで審査をすれば良いだけです。それで賞金を渡して、頑張ってくれ!って言えばそれで事足りるのではないですか?

 では、参加者の意識的なゴール設定という役割でしょうか。でも、考えてください。コンテストをゴールにしたいと思っている人はいないはずです。そこには、おそらく”次に羽ばたいて欲しい”という想いが込められてるのではないでしょうか。ただ、皆無ではありませんね、一時的なゴール設定とモチベーションの維持という役割を仮のゴールという意味でコンテストは果たしています。ですが、コンテストでなくても、それは果たせるはずでしょう?

 もう少し”違う”例を挙げましょう。”優勝チーム”へ「伯」を付けるためですか?いえ、ビジコンにおいても「伯」は大した財産になってはいません。それは”学生”だから通用している話のように思えます。
 じゃあ、もし何かのコンテストで優勝したとしてそれが”就職活動”に影響しているでしょうか。聞く話によれば、”大して影響していません”。これが結論です。別にコンテストで優勝したことが、求められる能力があることに直結しているわけではないのです。もちろん、これをスキルだと思ってみてしまう場合がありますが、多くの場合見誤ります。

 僕は、こういう風に考えていく中で「今の世の中」の多くのコンテストは、コンテストという形式を取らないでも良いと考えています。そこには、最後は”大きな”ことをしたいとか、団体の広報になるとか、参加者の”欲・優勝したら名誉がある”なんていうモチベーションのかき立てを行う材料でしかない。こういう目的のもとで開催されるコンテストは、今後のびていかないでしょう。自分たちが何故コンテストという形式を取るのかについてもっと真剣に考える必要があります。

 ただ、ここで終わってしまってはおもしろくないので、僕のいる組織が何故”コンテスト”を開く意味があるのかについて、自分なりの見解を述べておこうと思います。

結論から言えば「コミュニティー」を形成するためです。

 私たちの組織は、慶應義塾をインキュベーションのプラットフォームとして機能させることを目指しているため、コンテストの大きな特徴は”大学”であり、かつ卒業生の強い起業支援ネットワークが存在するということがあります。
 このような、バックグラウンドが存在する中で”コンテスト”が果たす役割は、慶應の学生で起業する人が、起業を支援する卒業生と出会うためのきっかけであり、支援者が一同に集う”きっかけ”としての役割を果たしています。
 また、支援者も多くの方は卒業生ですから、支援者同士のネットワークも強固であり、更に新しい支援者を連れてきたりします。しかも、連れてきてもすぐに馴染むことができる。このような出会いの場として機能している。即ち、コミュニティー形成の役割が強いわけです。
 そのため、コンテストで意図が読めない”経営者”の講演などは絶対にしないようにしています。それは、コミュニティー形成に何の関係も生まないし、それ以上にその後に繋がることはありません。
 また、コンテストにおいて(本年は違い、振り返って反省していますが)観覧者が質問できない状況は”コミュニケーション”の妨げです。なので、審査を2部制にし、「審査員の前での発表」及び「観覧者の前での発表」という形式に分けています。

 コンテストには、コンテストにしか果たせない役割があります。そして、意図が必ずあるのです。僕が改めて”問いかけたい”のはコンテストをやる意味です。企業に営業に行けば、”コンテストには〇〇人来るので、そこに広報できます”なんていうことを言いますが、あなたは何故”コンテスト”という形式を取るのかの意味が、人集めのためだったり、大きくやっていることを見せたいだけなら、それはコンテスト形式が”機能不全”に陥っているということを認識した方が良いと思います。

 私はコンテストが役割は”恊働”という言葉に尽きると思います。人と人が出会い、紹介し合い、新しい動きがどんどん加速されていく”きっかけ”の場としての機能です。これをわからずして、コンテストを実行しているのは”わかっている観覧者”から見ればすぐに飽きてしまう。 だから、コンテストにいれる観覧も実は”質”を問われているということ。運営者は”紹介して人と人を繋ぐ”という役割を果たしてるのかをみられているということ。(よくスーツで後ろに立っている人を見ていると、仕事ないなら逆に休んでくださいって思います。)

 皆さんが、もしコンテストを開催するのであれば”その意図”は?というのを明確にしていくことをお勧めします。そうしないと、コンテストという形式が”意味がない”にもかかわらず、協賛金のためだけにせっせと開催準備をしないといけなくなります。それぞれの組織に合った形で、イベントは設計され、課せられたミッションを達成していくことこそ望ましい姿だと私は思います。それがいかに小さいイベントであろうとも、意図ある設計は必ず評価されます。

 もし、今学生組織の皆さんが”何か”不安になって、悩んでいるんだとすればそれは自分たちの過去の継続を考えるというところに問題があるからです。今はどこの組織も”量”よりも”質”を求められるような時代になっている。だからみんな悩む。意味・意図なきモノは”消える定め”だと思います。これが皆さんの活動の少しでも考え直すきっかけになればとてもうれしく思います。

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