昨年2011年は経営学、その中でもとりわけ”Drucker経営学"がブームのようになっていました。その代表的な本は「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネージメント」を読んだら」(通称「もしドラ」)ですね。この本は爆発的なヒットを記録し、ドラッカー経営学がビジネスの世界から、一般の人にも受け入れられた瞬間だったのかな。と思います。
経営学の本は一般の生活をしている人には大して興味を引かないものが多いです。難解なものも多く、名著「競争の戦略」(ポーター)などはページ数も多く、実感が湧かないこともあり、正直読んでいて苦痛です。ですが、ドラッカー経営学は多くの人を惹きつけた。(と言っても、”マネジメント 課題・責任・実践”を読んだ人はそう多くはないと思います)
その理由は何でしょう?
ドラッカーの著書を全て読んだわけでは有りませんが、4,5冊読んでみて感じることは”人間に笑点を当てて、本質を突き、複雑なことをシンプルに整理して伝えてくれるからだ”と思っています。断片的ですが、「同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ること自体が、コミュニケーションである」や「意思決定で大事なのは、問題への答えではなく、問題についての理解である」などの言葉は、まさに人間が”実体験”として理解でき、更に本質的です。
また、今の時代が大きな転換点であることも、私たちがドラッカーに惹きつけられる理由かも知れません。工業化社会はとうの昔にピークを過ぎました。僕なんて1990年生まれですから物心ついたときからほぼ無縁です。第二次産業の中心は中国や東南アジアの国々に移りつつあります。精神的に、”モノを持つことから豊かさは感じられなくなっています”。(他にも、就職難とか、経済停滞とか、将来の希望も消えていくような気がしますね)
ドラッカーは”社会生態学者”と名乗るように、社会を生き物としてみてきました。生き物の特徴の一つは”変化”をし続けることです。ドラッカーのマネジメント論は一貫して、変化する社会の中で、または組織の中で”マネージャー”は何をすべきなのかを語っています。だからこそ、変化の時代を生きる私たちの心をとらえるのかもしれません。
さらに、学者であるドラッカーが経営の実務家を惹きつけている理由は、ドラッカー経営学が”実践”に重きを置いているからだと思っています。(GMなどもドラッカーに声をかけている)。高尚な理論も現場で役に立たなければ何の意味もありません。ドラッカーは成果重視です。
「よいことを行うための基礎は、よく行うことであるということである。よき意図は無能の言いわけにはならない。」とドラッカーは言っています。つまり、「私は、医者として患者を救う仕事をしています」と言っても、本当に患者を救えていないのなら意味はない。いいことをしているということを、自分の無能の言いわけにしてはいけないということです。これは、厳しい現場主義・成果主義の精神ですよね。
年明けから、ドラッカーを読んで自分の戒めにしようと思って今日1日過ごしました。ドラッカーのいう”真摯さ(integrity of character)”を大切にして今年1年間過ごそうと思います。
もし、興味があってドラッカーを読んでみたいという人は、原書から入ることはお勧めしません。
そういう人は”究極のドラッカー”から読むことをお勧めします。ドラッカーの根底に流れる基本的な考え方がわかりますし、ここから学ぶことがたくさんあります。
これを読み終えた後に”エッセンシャル版のマネジメント”を読むのが良いかと思います。
P.S.
ドラッカーには、もっと早く出会いたかった。
でも、もっと早く出会っていても”理解”できなかった。
というのが正直な感想です。
必要なものは、必要なときに、自分の前にあるものですね。
(※)「もしドラ」の登場人物である”みなみ”はAKB48の峰岸みなみがモデルであることはよく知られています(?)が、何故ドラマで主演が前田敦子になったのかは疑問でなりませんね。
峰岸みなみって偉大だったんだね〜 これをみて勉強しよう!http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B3%AF%E5%B2%B8%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%BF
返信削除AKBに関してはドラッカー先生も真摯さにおいて納得のパフォーマンスだと思います。
PS 「人間に笑点をあてる」の誤変換は直さないでね〜 面白いから。